TOBATA OTANIEN NEWSLETTER

戸畑大谷園通信

03
2026年9月号
発行:戸畑大谷園
夏の室内での見守り

今月の特集|FEATURE

夏の薬とのつきあい方
脱水・ふらつきに気をつけて

暑さで汗をかき、水分が不足しがちな夏は、薬の効き方が変わって、ふらつきや体調の変化につながることがあると言われています。今月は、夏の服薬で気をつけたい見守りのポイントをまとめました。

1夏は脱水で薬の効き方が
変わりやすい
2利尿薬・降圧薬と、ふらつき・転倒に注意
3飲み忘れを防ぐ工夫と、相談の目安

P2-3

特集:夏の服薬管理

なぜ夏は薬に注意が必要か/現場での見守り・✂チェック表

P4-5

東洋医学の視点

二つの目で見る/気血水・五臓/養生のツボと食養生

P6

ご相談・連携窓口

現場からの声/読者Q&A募集/バックナンバー

村田幸俊

執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師/訪問鍼灸Move 院長)|戸畑大谷園の理学療法士・鍼灸師として、園の中で健康のご相談をお受けします

特集
特集夏の服薬管理 ①(西洋医学の目で)TOBATA OTANIEN|2026.09
01

FEATURE

なぜ夏は「」に注意が必要なのか

汗や脱水で体の水分が減ると、血圧が下がりやすくなることがあります。また薬によっては、脱水や腎臓の働きの影響で効き方が変わることがあると言われています。

特に利尿薬・降圧薬・糖尿病のお薬などを使っている方は、立ちくらみ・ふらつき・脱水に気をつけたい季節です。服用する薬の種類が多いほど、飲み合わせや副作用にも注意が必要と言われています。

出典:厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針」(2016年 社会医療診療行為別統計)ほか

約40%

75歳以上の約4割が
5種類以上を服用

薬が多いほど、夏の体調変化の影響を受けやすくなります。

夏に出やすい“気をつけたい変化”
  • 立ち上がった時のふらつき・立ちくらみ(血圧の低下などのサイン)
  • だるさ・食欲低下・尿が少ない(脱水のサイン)
  • いつもと違うぼんやり・手の震え・冷や汗(糖尿病のお薬を使う方では低血糖のサインのことも)
夏の服薬で気をつけたいこと
  • 自己判断で中止・増減せず、気になる時は主治医・薬剤師へ
  • 決められた時間に、水分と一緒に。暑い日は脱水に気をつける
  • お薬カレンダーや一包化(1回分をまとめる)で、飲み忘れ・重複を防ぐ

※ 薬の内容や量の変更は、主治医・薬剤師の指示にしたがって行ってください。

夏に特に気をつけたいお薬(例)
  • 利尿薬・降圧薬:汗+脱水で血圧が下がりすぎ、ふらつきやすい
  • 糖尿病のお薬:食欲が落ちる夏は低血糖に注意
  • 痛み止め(NSAIDs):脱水時は腎臓の負担が増えることがある

※ いずれも自己判断で中止・増減せず、気になる時は主治医・薬剤師にご相談ください。

02
特集
特集夏の服薬管理 ②(現場での見守り)TOBATA OTANIEN|2026.09
こんな時は、早めに相談・受診を
  • 強いふらつき・立ちくらみで転びそう/実際に転んだ
  • 食事・水分がとれない・尿がとても少ない
  • 意識がぼんやり・ろれつが回らない・強い手の震えや冷や汗(ためらわず119番・救急相談へ)

意識がはっきりしない時は、無理に飲ませないでください。判断に迷う時は、ためらわず救急相談へ。

立ちくらみが起きる流れ

立ち上がる→血が下がる→頭の血が減る→ふらつく

現場で使えるチェック視点 ✂ コピー・切り取って、申し送りや見守りに持ち歩けます
薬の種類・数(お薬手帳で確認)
飲み忘れ・重複はないか
立ちくらみ・ふらつき
血圧・脈の変化
食事・水分の量、尿の量
むくみ・体重の変化
ぼんやり・手の震え
転倒しそうな場面
ご家族に伝える一言

「暑い日は汗で水分が減り、薬の効き方が変わることがあります。立ち上がりはゆっくり、水分もこまめに。お薬は自己判断でやめず、気になることは主治医・薬剤師に相談しましょう。」

03
東洋医学
連載東洋医学の視点 ①TOBATA OTANIEN|2026.09
02

SERIES|理学療法士 × 鍼灸師の目で

ふらつきを「気血」で読みとく

ここからは、鍼灸師としての東洋医学の視点を加えます。東洋医学では、夏の強い暑さ(暑邪=しょじゃ)は「気(き=体を動かすエネルギー)」を消耗させ、立ちくらみ・だるさ・食欲低下につながると考えます。ふらつきの背景に「気虚(ききょ=気の不足)」があると見ることがあり、お薬とあわせて、気を養う生活の工夫が大切という考え方です。

理学療法士の目

立ち上がり動作の速さ・血圧の変化・下肢の筋力低下として捉え、動き方と環境から転倒リスクを見ます。

×
鍼灸師の目

同じふらつきを「気虚(気の不足)」のサインと見立て、消耗を補う養生と巡りを整える視点で見ます。

「気・血・水」で読みとく

体を「気・血・水(き・けつ・すい)」で見ると、立ちくらみ・ふらつきは「気血(きけつ)」の不足や、気がうまく上に昇らない状態と関係すると考えます。「血(けつ)」が足りないと、めまい・顔色の悪さ・動悸として現れることもあります。夏の消耗で不足しがちなこの“気血”を、日々の食事と休息で補うのが養生です。

気・血・水がめぐって体を保つ

五臓と季節の養生(夏=心)

カギを握るのは「脾胃(ひい=胃腸)」。脾胃は食べ物から気血をつくる大もとで、東洋医学では夏バテを脾胃の弱りと考えます。冷たい飲み物・食べ物で脾胃を冷やさず、温かいものを腹八分に――が夏の養生の基本です。

五行と五臓の対応(夏=火・心)

今日からの養生ワンポイント

胃腸が元気だと気血もつくられやすいと考えられています。冷たい麺や飲み物ばかりに偏らず、温かい汁物を一品。よく噛んで食べることも、胃腸をいたわる立派な養生です。※ 東洋医学の考え方の紹介です。持病・服薬中の方は主治医・鍼灸師にご相談ください。

04
東洋医学
連載東洋医学の視点 ② ― ツボと食の養生TOBATA OTANIEN|2026.09
気を養う・巡りを助ける養生のツボ

図はおおよその位置。正確な位置は下の説明を

  • 足三里(あしさんり)/膝の皿の下・指4本、すねの外側/胃腸を整え全身の気を補う代表のツボ
  • 百会(ひゃくえ)/頭のてっぺん・両耳を結んだ中央/気を上げる・立ちくらみ・頭の重さ(軽く)
  • 気海(きかい)/おへその下・指2本/元気(気)を養う
  • 内関(ないかん)/手首のしわから指3本・腕の中央/吐き気・動悸・胸のつかえ
  • 三陰交(さんいんこう)/内くるぶしの一番高いところから指4本上・すねの骨の内側のきわ/血を養い巡りを整える

気持ちよい程度に、息を吐きながらゆっくり(百会は軽く)。強く押しすぎないこと。妊娠中の方、血が止まりにくい方(抗凝固薬を使う方など)、皮膚に傷や異常がある部位は避け、持病・服薬中の方は始める前に主治医・鍼灸師にご相談ください。ツボは薬の代わりではありません。

食の養生

夏バテには、気を補う 米・いも・豆・かぼちゃ など(脾胃にやさしい食材)を、温かくして少しずつ。冷たい麺や飲み物ばかりに偏らない工夫を。よく噛んで食べることも、胃腸をいたわる立派な養生です。

東洋医学 ミニ Q&A

Q. 「未病(みびょう)」とは?

A. 病気とはいえないけれど、放っておくと不調に傾く「一歩手前」の状態を指す東洋医学の言葉です。夏のだるさ・ふらつきも未病のサインととらえ、不調に傾く前に生活と巡りを整える――それが東洋医学の「未病」への向き合い方です(治療の代わりではなく、日々の養生として)。

05

お問い合わせ/連携のご案内・コラムへのご要望

INFORMATION
ご利用者のことで気になる時は

ふらつきが増えた・夏で食欲や活動量が落ちた・むくみや歩行が不安――そんな「気になる」を見かけたら、戸畑大谷園の理学療法士・鍼灸師として、体の状態を一緒に確認します。転びにくい動き方や声かけのコツも、どうぞご相談ください。主治医・薬剤師・看護師・ケアマネのみなさまと連携しながら進めます。

コラムのご要望 リクエストフォームQR
お問い合わせ・連携のご相談
戸畑大谷園(担当:村田 幸俊)
TEL:093-883-0622
QR=コラムのご要望・取り上げてほしいテーマ受付
現場からの声

「立ち上がりをゆっくりにする声かけと、水分の見守りを続けたところ、“ふらつきが気になりにくくなった”との声がありました。」

※ 個人の感想です。効果を保証するものではありません。体調には個人差があります。

📮 ご質問・ご要望を募集しています

取り上げてほしいテーマや、日ごろの疑問を、上のQR(または戸畑大谷園)へお寄せください。いただいた声は次号以降でお答えします。みなさまと一緒に育てていく通信です。

夏を安全に過ごす
あわてず、ゆっくり、こまめに。夏の体調を、みんなで見守りましょう。
戸畑大谷園 特別養護老人ホーム/デイサービス
TEL 093-883-0622
〒804-0032 北九州市戸畑区西大谷1-6-22/発行 戸畑大谷園・2026年9月1日(毎月1日発行)/執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師)/次号予告:秋の入り口・自律神経の整え方(予定)
既刊:第1号 室内で起こる熱中症の見守り / 第2号 かくれ脱水の早期発見 / 第3号 夏の服薬管理
バックナンバーQR
📚 バックナンバー
はこちら