A4・全6ページ(両面3枚)。印刷=A4/両面/等倍。図解入り。
戸畑
大谷園

TOBATA OTANIEN NEWSLETTER

戸畑大谷園通信

第2号
2026年 8月
発行:戸畑大谷園
健康見守りコラム

今月の特集

「のどが渇いていない」でも油断せず
かくれ脱水の早期発見

夏の室内での見守り
今号のポイント 1. 脱水は「のどの渇き」を感じる前から始まる
2. 尿・口・肌で見分ける“3つのサイン”
3. こまめな水分と、受診の目安

暑い時期は、ご本人が気づかないうちに体の水分が不足する「かくれ脱水」が起こりやすくなります。今月は、尿・口・肌のサインで早めに気づくヒントをまとめました。

村田幸俊
監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師/訪問鍼灸Move 院長)
戸畑大谷園の理学療法士・鍼灸師として、園の中で健康のご相談をお受けします / 発行:戸畑大谷園
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特集:かくれ脱水の早期発見 ①(西洋医学の目で)

なぜ高齢者は「かくれ脱水」になりやすいのか

年齢を重ねると、のどの渇きを感じる感覚がゆるやかになり、筋肉量が減ると体にたくわえられる水分も少なくなりやすいと言われています。そのため、ご本人が「のどは渇いていない」と感じていても、体の水分は不足していることがあります。もともと体内の水分の割合が少なめであるほど、汗や気温の影響を受けやすくなります。

出典:健康長寿ネット(東京都健康長寿医療センター)・厚生労働省リーフレット/搬送=消防庁 令和7年

尿・口・肌で見る“3つのサイン”
  • 尿:トイレの回数が減る/量が少ない/色が濃い
  • 口・舌:口の中や舌が乾く・唾液が少なくネバつく
  • :手の甲や腕の皮膚をつまむと戻りがゆっくり(ハリの低下)/わきの下が乾いている
水分のとり方のひと工夫
  • のどが渇く前に、少量をこまめに(1回コップ半分ほど)
  • 起床時・食事とお茶の時間・入浴の前後・就寝前を「一口」の習慣に
  • たくさん汗をかいた後は、水だけでなく塩分も(制限のない方は みそ汁・経口補水液など)

※ 水分・塩分の制限がある方は、主治医の指示を優先してください。

水分の目安(1日の量)
  • のどが渇かなくても、1日およそ1.2〜1.5Lを目安に(食事に含まれる水分は別)
  • 起床時・毎食時・入浴前後・就寝前など、時間で区切って分けてとる

※ 心臓・腎臓の病気などで水分制限がある方は、主治医の指示された量を優先してください。/目安:厚生労働省 高齢者向け資料

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特集:かくれ脱水の早期発見 ②(現場での見守り)

こんな時は、早めに相談・受診を
  • 半日以上おしっこが出ない/ぐったりして元気がない
  • 食事・水分がとれない・吐いてしまう
  • 意識がぼんやり・ろれつが回らない・けいれん(ためらわず119番・救急相談へ)

意識がはっきりしない時は、無理に飲ませないでください。

尿・肌のサインを図で見る

尿の色=水分状態の目安

皮膚つまみテスト

✂ コピー・切り取って、申し送りや見守りに持ち歩けます 現場で使えるチェック視点
尿の回数・量・色
口や舌の乾き・唾液のネバつき
皮膚のハリ(つまむと戻る早さ)
わきの下の乾き
食事・水分の量
体重の急な減少
顔色・活気・受け答え
ふらつき・立ちくらみ
ご家族に伝える一言

「“のどが渇いていない”と言っても、体の水分が足りなくなっている可能性があります。時間を決めて、コップ半分ほどの水分をこまめに続けましょう。トイレの回数や尿の色も、よい目安になります。」

今月のセルフケア(こまめな水分と巡り)
  • 見える場所に飲み物を置き、時間を決めて一口を習慣に
  • 水分の多い食べ物(果物・ゼリー・スープ)も取り入れる
  • 涼しい時間に、座って足首の上げ下げ・ふくらはぎさすりで巡りを促す

※ 痛みや気分の悪さがあれば中止。持病のある方は主治医の指示を優先してください。

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東洋医学の視点 ① ― 理学療法士 × 鍼灸師の目で

ここからは、鍼灸師としての東洋医学の視点を加えます。東洋医学では、体をうるおす水分を「津液(しんえき)」と呼び、汗をかきすぎると、うるおいだけでなく「気(き=体を動かすエネルギー)」も一緒に消耗すると考えます。夏は五臓の「心(しん)」に負担がかかりやすく、暑さで“気”と“うるおい”の両方が不足しやすい季節です。

「気・血・水」で読みとく

体を「気・血・水(き・けつ・すい)」の3つで見るのが東洋医学の基本です。かくれ脱水は、このうち「水(津液=うるおい)」の不足。さらに汗で「気」も減るため、だるさ・食欲の低下として現れると考えます。だから、水分を足すだけでなく、休息で“気”を養うことも同じくらい大切、という見方をします。

気・血・水がめぐって体を保つ

五臓と季節の養生(夏=心)

夏は「心(しん)」の季節とされ、湿気の多い時期は、消化を担う「脾(ひ=胃腸)」に負担がかかりやすいと言われます。冷たい物のとりすぎは、この脾胃を冷やして水のさばきを乱すと考えます。常温〜温かい飲み物も取り入れ、胃腸を冷やしすぎないのが、夏の“うるおいを守る”養生です。

五行と五臓の対応(夏=火・心)

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東洋医学の視点 ② ― ツボと食の養生

うるおい・巡りを助けるツボ(養生)

図はおおよその位置。正確な位置は下の説明を

  • 三陰交(さんいんこう)/内くるぶしの一番高いところから指4本上・すねの骨の内側のきわ/水分と血の巡り・冷えのぼせ
  • 太谿(たいけい)/内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ/体のうるおい(腎)を養う
  • 陰陵泉(いんりょうせん)/すね内側・膝下の骨のきわのくぼみ/水はけ・むくみ
  • 湧泉(ゆうせん)/足裏・指を曲げてへこむところ/のぼせ・ほてり・だるさ
  • 内関(ないかん)/手首のしわから指3本・腕の中央/夏の吐き気・動悸・暑気あたり

気持ちよい程度に、息を吐きながら5秒ほどゆっくり押します。強く揉みすぎないこと。妊娠中の方、血が止まりにくい方(抗凝固薬を使う方など)、皮膚に傷・炎症・強い痛みがある部位は避け、持病・服薬中の方は始める前に主治医・鍼灸師にご相談ください。ツボは薬の代わりではありません。

食の養生

東洋医学では、夏は「苦味(にがみ)」が心を助けると言われます。うるおいを補う きゅうり・冬瓜(とうがん)・すいか などは、冷やしすぎない工夫(常温・少量)で。たくさん汗をかいた後は、水分とあわせて塩分も少し補うとよいとされます。

東洋医学 ミニ Q&A

Q. 「水毒(すいどく)」とはどういう意味ですか?

A. 東洋医学で、水分の巡りが滞って、むくみや体の重だるさが出る状態を指す言葉です。脱水(水の不足)とは逆に見えますが、どちらも“水のさばき”の乱れ。冷たい物のとりすぎや動かなさが背景になることがあり、巡りを整える視点が役立つと言われています。

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お問い合わせ / 連携のご案内・コラムへのご要望

ご利用者のことで気になる時は

水分がとりにくい・夏で食欲や活動量が落ちた・むくみや歩行が不安――そんな「気になる」を見かけたら、戸畑大谷園の理学療法士・鍼灸師として、体の状態を一緒に確認します。声かけ・介助のコツも、どうぞお気軽にご相談ください。ご家族・看護師・ケアマネのみなさまと連携しながら進めます。

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戸畑大谷園(担当:村田 幸俊)
TEL:093-883-0622
QR=コラムのご要望・取り上げてほしいテーマ受付
現場からの声

「尿の色をご家族と一緒に見る習慣にしたところ、“濃い日は一口増やす”の声かけが続けやすくなった、との声がありました。」

※ 個人の感想です。効果を保証するものではありません。体調には個人差があります。

📮 コラムへのご質問・ご要望を募集しています

取り上げてほしいテーマや、日ごろの疑問を、裏面のQR(または戸畑大谷園)へお寄せください。いただいた声は次号以降でお答えします。みなさまと一緒に育てていく通信です。

こまめな水分で夏を元気に
こまめな水分と、まわりの見守りで。この夏も元気に過ごせますように。
戸畑大谷園 特別養護老人ホーム/デイサービス
TEL 093-883-0622
〒804-0032 北九州市戸畑区西大谷1-6-22/発行 戸畑大谷園・2026年8月1日(毎月1日発行)/執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師)/次号予告:夏の服薬管理(予定)
既刊:第1号 室内で起こる熱中症の見守り / 第2号 かくれ脱水の早期発見 / 第3号 夏の服薬管理
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